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概要

ワークルールの掟 vol1

2S h i z u o k a J i d a iも、大学生やその親たちは、正社員になることを考えていますが、これからは難しくなるということです。大卒という学歴が指標とならなくなり、加えて、現代はグローバル化により企業間の国際競争も激化しています。企業は長期的なスパンで物事を考えられなくなるかもしれない。即戦力が求められる時代なのです。となると、正社員とは名ばかりで、「安泰」といえるほど保護が十分ではない正社員が増え、従来型の正社員は減っていくでしょう。正社員になることは悪くないんだけれども、そのなかでどうやったら生き延びていけるのかというのが問題です。――でも学生の間では「正社員になる」という風潮がまだ根強いです。昔はサラリーマンとして働くよりも、自営として独立で働くほうが普通の時代でした。それが徐々に雇用で働くことはいいと価値観が転換していきました。そもそも雇用の本質とは、自らの労働力を企業にゆだね、その指揮命令に従って働くこと、そして、その働いた時間に対して報酬が支払われることです。正社員となれば長期雇用ですから、企業もしっかりと育成をします。一方で、請負は働いた仕事の結果に対して報酬が支払われます。自由だけど自己責任の世界です。従属しているけれど、終身雇用や労働法による保護など安定している雇用の方がいいと考えられても不思議ではありません。しかし、会社が突然倒産したり、業績が悪くなってしまったりしたらどうするのか。今の時代、三十年後もいまの企業が存続していると思うのは相当楽観的です。高度経済成長期のような何もしなくても、流れにのっておけば幸せになれるという時代はあったけれど、それは歴史的に見てみるとごく例外的な時期だったのかもしれない。高度経済成長モデルで出来ている終身雇用や年功序列型賃金は、特別なことだという意識を持たなくてはなりません。本当にいまの若者が幸せになるために必要なことはなんだろう、という問題定義をしてほしいですね。企業や社会がどんなスキルや技能をニーズしているかを先を見越して見極めることが大事で、そしてそのニーズは今後も変わっていくのです。――どのように変化を捉えていけばよいのでしょうか?産業社会がどう変わっていくかを意識することでしょう。今は技術の進展がすさまじいですよね。アメリカの論文によると、技術革新やIT、人工知能の発達により、二〇三五年には今ある仕事は半分になると言われています。自動運転車が増えるとタクシー運転手は失業するなど、人間の仕事はロボットに代替されてしまう時代がくるわけです。つまり企業からしてみたら、十年かけて育て上げた一人前の技能が使えなくなるかもしれないということです。企業は人を育て上げるよりも、いまある程度貢献できる人を市場から連れてくる志向に変わるでしょう。他方で、技術革新は技術やITを使った新しい仕事が出てくるということも意味しています。技術を扱うのは人間なので、倫理はますます大事になってくるでしょうね。今までは大切だと言いながらも役に立たないと言われてきたものが、実は今後は大事になる。価値がどんどん変わっていくので著書『君の働き方に未来はあるか?労働法の限界と、これからの雇用社会』では、正社員安泰説に警鐘をならし、未来ある働き方の指針を示す先四十年を見据えたときに企業や社会が人に何を求めるかポイントポイント社会人、就活生親世代の必読書